極上御曹司の独占欲を煽ったら、授かり婚で溺愛されています
「今日は晴れてよかったね」

「そうですね」

 なんて他愛ない話をしていても、いまだに緊張は解けず。必死にバレないようにしながらドライブすること約二十分。着いたのは都内の水族館だった。

 ビルの中にある水族館として有名だけれど、実は一度も訪れたことがなかった。

「ここ、ずっと来たいと思っていたんです」

「本当? それならよかった」

 私の話を聞き、村瀬さんはホッとした顔を見せた。

「俺も初めてだから、楽しみだよ」

 そう言うと彼はまたナチュラルに私の手を握るものだから、心臓は忙しなく動き出す。

 今日一日、私の心臓は持つのだろうか……?

 だけどそんな心配は、館内を見て回るうちに消えた。

 ビルの中にあるとは思えないほど、水槽や展示動物の数が多く、アシカやカワウソなどのショーは間近で見ることができ、大好きなペンギンにも会えた。

 その愛らしさに緊張も解け、いつの間にか手を繋いでいることも忘れ、心から楽しんでいる自分がいた。

「へぇ、ペンギンもイルカのように海面をジャンプすることもあるんだ」

 展示されているペンギンの生態を読み、感慨深そうに頷く姿に頬が緩む。
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