誰にも邪魔させない。
廊下を坂城くんと一緒に歩きながら、さっき言いそびれたことを言う。
「さっきは教科書見せてくれてありがとう」
「そんなの全然いいよ」
坂城くんはにっこり笑った。
でもその顔はすぐに真剣な顔になって。
「それより黒川と何かあった?」
その言葉に一瞬ドキッとした。
坂城くんは何か察してるのだろうか。
「え、何にもないよ」
きっとクラスの子に聞けば私と柊がケンカしたことなんてすぐにばれるのに。
それでも坂城くんを巻き込むのは違うと思った。
「そっか。でも僕、諦めないから」
「何を?」
「海莉ちゃんのこと」
そう言って笑てみせた顔はすごくかっこよくて、一瞬だけ見惚れてしまった。