都の剣〜文化祭バージョン〜
「沙月〜!」

「お客さんです〜」

色違いの着物を着た双子が、沙月の腕を引っ張る。

「えっ?本当!?」

確かに足音が聞こえてくる。でも、参拝客はみんな帰ってしまったはずだ。ううん、きっとこの二人が戻ってくるようにしてくれたんだ!そう思いながら、沙月は「ようこそお越しくださいました」と笑顔で振り返った。座敷わらしは幸運を運ぶ妖怪だ。

「…………」

沙月の体が固まる。

「沙月?どうしたですか?」

沙月が固まったことで、あれだけコロッケと騒いでいた火影も黙る。

沙月の目の前には、たくさんのスーツを着た人たち。みんなどうして神社に来たんだろう?と不思議そうな顔をしている。

その人たちの職業が何なのか、沙月は一瞬でわかった。

その人たちは、たくさんの幽霊を連れている。恨みを残し死んでいって霊たち。

「ああ……ぁぁ……」

血だらけの女性が、沙月に触れる。ぬめっとした血の感触がした。

そう、この人たちはたくさんの死体を見ているーーー刑事さんたち。
< 5 / 24 >

この作品をシェア

pagetop