都の剣〜文化祭バージョン〜

沙月の目の前が、真っ暗になった。



ひやりと冷たさを感じ、沙月はゆっくりと目を開けた。

「あっ！沙月ちゃん、気が付いた？」

つららが沙月の頰に手を当てながら訊く。

「沙月、大丈夫ですか？」

お雪が心配そうに見つめる。その後ろでは春太郎と幸子が泣きながら正座させられていた。おそらく、お雪にたっぷり叱られたのだろう。

「あの時、沙月は恐怖で気絶しちゃったんだよ」と金次郎。

「あの後、沙月のおじいちゃんがあの霊を除霊したんだよ！かっこよかった〜」と水月。

「妖怪と暮らしてんのに、幽霊にビビるって沙月は子どもだな！」と火影。

「うるさいなあ。だって、ほんとに怖かったんだもん……」と沙月。

「ほら、謝りなさい」とお雪が言うと、「ごめんなさい」と春太郎と幸子は同時に頭を下げた。

その様子が可愛くて、沙月は笑って許した。

「でも、幽霊に驚いて気絶してしまうのに、私たちは帰っていいの？」

桜姫が言うと、朧と嵐猫が「う〜ん」と同時に言う。