放課後の魔法使い

「かけて欲しくないの?」
「かけて欲しくないよ」

「どうして?」
「どうしてでも」

子犬のような顔で、私を見つめてくる彼。

その瞳は、やめて欲しい。

「なら、この、放課後の魔法使い様が呪いをかけてあげよう」
「はぁ?放課後の魔法使いって何?」

「放課後に、魔法をかけるから放課後の魔法使い。どう?良くない?」
「意味わかんないよ。魔法なんて使えないくせに」

第一、この世界に魔法使いなんているわけないじゃないか。どこぞの、ファンタジー小説だ。

もし、この世界に魔法があるのなら、私は学校を消すに違いない。

魔法があったのなら、きっとこの世界ももっと面白くなるに違いない。

「使えるよ。俺は、放課後の魔法使いだからね」
「嘘ばっか。魔法使いがいるのなら、学校をけしてほしいよ」

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