My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 4
アルさんの目が点になり、周りの私たちもぎょっとそんな王子を見た。
「僕が王になるまで……いや、王になった先もずっとだ」
「殿下!」
とうとうクラヴィスさんが声を荒げた。だが王子はじっとアルさんを見つめその答えを待っている。
「どうだ?」
「あ、あ~、いや、ちょっと待ってください」
アルさんが困ったように、でもどうにか笑顔で言う。
「今はこうして旅してますがね、一応教師やってますんで、急に言われましても……なぁ」
「オレに振るな」
助けを求めるようなアルさんの視線を、ラグが冷たく一蹴する。
と、王子は今度そのラグに視線を向けた。
「ラグ・エヴァンス、だったな」
「あ?」
「お前もだ」
「!?」
皆が息を呑む。
「確かお前は、呪いについて知りたいと言っていたな」
途端、ラグの表情が真剣なものになる。
「宮殿内には王族しか入れない書庫がある。その中に僕にかけられたこの古い呪いに関して記述された書物があった。お前の呪いに関して書かれたものもあるかもしれない」
「殿下! そんな大事なことを勝手に決められては」
「うるさいぞクラヴィス! 僕は王になると決めたんだ。その僕が良いと言っている」
王子の視線が再びラグに戻る。
「その代わり、僕を護衛して欲しい。側近としてだ」
「わかった」
「ラグ!?」
即答したラグに、アルさんが驚き声を上げた。
私はただ茫然とそんな彼の横顔を見上げていた。