My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 4
「終わったんですか?」
王子が扉を開けるとすぐにアルさんの声が聞こえた。
「あぁ。さて、どうする。そろそろ昼食が運ばれてくる頃だが、先にお前と話したいという医師の元へ行くか?」
「え、殿下も一緒に来てくださるんですか?」
「僕も一度医師たちに挨拶しておきたいからな」
「そうですか。ならお願いします」
そんな会話が耳に入ってくる。
「カノン?」
「え?」
セリーンと目が合う。
「どうした? 顔色が悪いぞ」
小声で言われ、私は慌てて首を振る。
「ううん、なんでもないよ」
今この場では話せない。
――それに。この不安を口にしても、きっとセリーンを困らせるだけだ。
どうしようもないことなのだから。
王子たちの後について、再び王の間へと続く廊下へ戻ってきた私たち。
最初に通された控えの間の前で、セリーンが足を止めた。
「私たちは居ても仕方ないだろう。ここで待っていよう」
――え?
私は彼女を見上げる。
もう一度フォルゲンさんに会うのなら私も一緒に、そう思ったのだけれど。
「医師の名はフォルゲンと、その奥方のリトゥースだ」
「そっか、わかった。話が済んだら声掛けっから」
アルさんがすんなりOKして、王子と共に先へ向かう。
それを見送っていると、セリーンの手が肩に置かれた。
「ほら、入るぞ」
「う、うん」