My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 4
2.王子の策
「――ただ、」
ラグは続けた。
「あくまでオレの目的はこの呪いを解くことだ。護衛出来るのはそれが果たせてからになるが、それでもいいか?」
それを聞いて、少しほっとする。
もう旅には出ない。瞬間、そういう意味に思えたのだ。
(でも、そんなに簡単に決めちゃっていいの……?)
パケム島でクラヴィスさんから依頼されたような限られた期間の話をしているのではない。王子は生涯を自分に捧げて欲しい、そう言っているのだ。
「あぁ、構わない」
王子はラグの答えがわかっていたかのようにすぐに頷いた。
そしてもう一度アルさんを見上げる。
「それまでの護衛をこの男が引き受けてくれるのならな」
「問題無い」
「ちょっと待てーい!」
ラグに即答され、当然のことながらアルさんが抗議に入る。
「なに勝手に決めてくれちゃってんの!? 俺はストレッタに生徒が」
「その生徒ほっぽって勝手について来たのはお前だろうが」
「そ、それは俺がいたら何かとお前の役に立てるかな~って先輩心でだな」
「初めて役に立てるじゃねぇか。良かったな」
「初めて!? あれ、俺そんなに役に立たなかったっけ!?」
そんな二人の言い合いが始まった頃、クラヴィスさんと王子の方でも口論が始まっていた。