My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 4
私もその隣に座って訊く。
「この花はなんていう名前なんですか?」
「さぁ、知らない」
早速花を摘みながら王子は首を振る。
「母さまか庭師なら知っているんだろうけどな」
「アウルムの花だ」
背後からの答えに私たちは振り返る。
「この地方でこの時期にしか咲かない花だな」
「セリーン、花に詳しいの?」
少し意外な気がして訊く。
「詳しいというほどではないが、花は好きだからな」
言ってセリーンも私の横に腰を下ろし、アウルムの花に優しく触れた。
その姿はまるでどこかの国の王女様のように綺麗で、思わず少しの間見惚れてしまった。
「ん、どうした?」
「う、ううん!」
気恥ずかしくて慌てて目を逸らし私もアウルムの花を摘み始める。
(そっかぁ。セリーン、花好きなんだ。あとでアルさんに教えてあげよ)