My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 4

「殿下、魔導術士を宮殿に迎え入れるなど前代未聞です! どうかお考え直しを。護衛なら私たちがいるではないですか」
「宮殿内に暗殺者がいないとは言い切れないじゃないか! この間みたいな奴らが襲ってきたらお前らだけじゃどうにもならないだろう!?」
「それは……。しかし、それでは私はどうなるのですか! お役御免ですかお払い箱ですか!? 困ります!」
「お前は結局自分のことしか考えてないんじゃないか!」

 完全に蚊帳の外な私はハラハラしながらそんな二組を見守ることしか出来ない。

 ふと隣を見るとセリーンは彼らに興味がないのか先ほどと変わらずビアンカを見上げていた。ビアンカはというとやはりじっと城のある方を見つめていて、私も男性陣を気にしつつそちらを向く。

「ビアンカ、帰ろうとしないね。どうしたんだろう」
「ここに、ライゼがいたらいいのだがな」
「そうだね……」

 ライゼちゃんがいたら通訳をお願いできるのに。
 彼女の柔らかい笑顔が脳裏に浮かんだその時だった。

「僕は殺されたくない!」

 一際大きな声にびっくりして振り返る。
 王子が拳を握り締め、強い眼差しで己の従者を睨め上げていた。

「王になるまで、ドナを迎えに行くまで僕は絶対に死ぬわけにはいかないんだ!」
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