My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 4

 すると王子は満足げに笑って再びお兄さんの髪と同じ色の花を摘み始めた。
 そして彼は続ける。

「兄さまがいつか王になったら僕がしっかりとそれを支えるんだ!」

 私はセリーンと顔を見合わせた。

 ――彼は、大人たちの間で派閥が出来ていることを知っているのだろうか。
 お祖父さんが自分を王にするためにお兄さんを殺そうとしたことを知ったら、彼は……。

 私はその隣に腰を下ろして言う。

「お二人が力を合わせたら、きっと素晴らしい国になりますね」
「あぁ!」

 デュックス王子は飛び切りの笑顔を返してくれた。



 ――ツェリウス王子は知っているのだろうか。
 弟であるデュックス王子がこんなにも自分を思ってくれていることを。

 パケム島で、この国が……この城が嫌いだと言っていたツェリウス王子。

(伝えなきゃ)

 きっと、もっともっと王子は強くなれる気がした。
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