My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 4
13.王家の呪い
「王妃様、喜んでくれて良かったね」
「あぁ」
デュックス王子と共に王の間に花を届けた私とセリーンは、その帰りに廊下で笑い合った。
先ほどは顔を上げてもどこか虚ろな様子だった王妃様が、デュックス王子からたくさんの花を手渡されると柔らかく微笑んでくれたのだ。その笑顔は可憐という言葉がぴったりで見ているこちらもほっとあたたかな気持ちになった。
「王子も嬉しそうだったし。お手伝い出来て良かった」
「あぁ。王も早く目覚めると良いのだがな」
「そうだね……」
王様はデュックス王子と王妃様が枕元で話していても起きる様子はなく、ただ静かに寝息を立てていた。セリーンの言う通り、早く目を覚まして王子と王妃様を安心させて欲しい。
(まさかこのままずっと眠ったままなんてこと……)
浮かんでしまった不吉な考えを慌てて振り払う。
笛の音があれば呪いの力は弱まり、元気になるとわかっているのだ。
大丈夫。きっとツェリウス王子は考え直してくれるはずだ。
控えの間の前まで戻ってきて、私はセリーンを見上げた。
「ツェリウス王子の部屋にもう一度行ってもいい?」