My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 4

 ――そう、ほっと息をついた矢先のことだった。

「あぁ~マジかぁ~ティコがこんなに辛いなんて……うっ!?」

 ソファに力無く横になってしまったアルさんが再び小さく呻き、苦笑する。余程辛かったのだろう。
 セリーンもふんと鼻を鳴らしもう彼の方を見ようとはしない。

 と、王子が息を吐いて立ち上がった。

「すまなかった。こうでもしないとお前たちを……っておい、どうした!?」

 急に、王子の声音が変わった。

 ――え?

 再度アルさんの方を見て、私は悲鳴を上げそうになった。
 ソファの上で彼の身体が大きく痙攣していたのだ。

「アルさん!?」

 そのまま彼の身体はソファから床へとずり落ち、動かなくなった。

「おい、デイヴィス! しっかりしろ! おい!?」
「やだっ! アルさん、アルさん!?」

 そばに駆け寄り何度叫んでも彼は目を開けない。
 その顔は青白くて、まるで……。

「!?」

 そのとき、彼の身体を揺さぶっていた王子の手がぴたりと止まった。
 私もそのわけに気付いて震える手で口を押さえる。

 彼の汗ばんだ額に、見覚えのある紋様がうっすらと浮き出ていた。

「王家の、呪い……?」

 低く、唸るように王子が呟いた。

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