My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 4
――そうだ。
少しでも収穫があればいいが、何も得られなかった場合結局また当ての無い旅に出なければならないわけで、その間アルさんはずっと宮殿で王子の護衛ということになる。
ビアンカとお別れした後の旅は今よりももっと困難で長いものになるはず。
そのことを考えてもやはり現時点ではまだちゃんとした答えは出せないということだ。
(――あれ? でも逆にすっごく良い情報が手に入ったら……?)
ふと湧いた疑問は、聞こえてきた小さな溜息によって霧散する。
見るとラグは眉間に深く皴を寄せながらも目を伏せていて、特に異論は無いようだった。
アルさんは満足げに何度か頷くと再び王子に向き直った。
「というわけで、とりあえずの側近になりますが、いかがでしょう?」
「わかった」
王子がしっかりと頷く。
「それでも心強い。よろしく頼む」
まっすぐな瞳でお願いされ、その意外な素直さにアルさんは少し驚いたようだった。
しかし彼は咳払いひとつして、すぐにいつもの軽い笑顔を浮かべた。
「あー、そんで、そのティコの飲み物は宮殿入ってすぐに飲めるんですよね?」
……がくっと私の肩が落ちたのは言うまでもない。