My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 4
15.自責
困惑の色を濃くした王子の瞳をまっすぐに見返して、私は続ける。
「だから、お母さんの居場所を教えてください」
彼のお母さんが笛を吹いて王様の呪いが解けるのなら、それが一番だ。
そうすれば王子も傷付かずに済むし、アルさんの呪いも解けるはず。
何も敵地に乗り込むわけじゃない。ただ王子のお母さんの元へ行き、ここに連れてくるだけだ。
離れている場所ならばもう少しだけビアンカを頼ることになってしまうけれど、事情を話せばきっと彼女なら行ってくれるはずだ。
「勿論アルさんと王様の命最優先で、私がいつまでも戻らないときには王妃様に笛を」
「アホかてめぇは!」
ラグの怒声が部屋に響く。
「余計なことをするなと言ってるんだ!」
「ラグは黙ってて! 私は今王子と話をしてるの」
私は王子から視線を逸らさずに言い返す。
ラグから文句が出ることは予想していたし、それでも今はこれしか思いつかなかった。
動揺を隠せずにいる王子に、私は表情を和らげ言う。
「正直、私はここに居てもすることが無いですし、教えてもらえたらすぐにでも」
「なんでわからねぇんだ」
低く掠れた声が重なった。
「ただ大人しくしてろってのが、何で出来ねぇんだ!」
再びの怒声に、ぐっと奥歯を噛みしめる。