My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 4
「しかし、皆にどう説明されるおつもりです?」
クラヴィスさんはまだ納得していないよう。
「デュックス派の者たちが素直に自分達のしたことを認めるとは思えませんし、急に魔導術士を迎えるなど皆が混乱するだけです。やはりどう考えても殿下の不利にしか……」
「術士だということは黙っていればいいんだ」
王子がクラヴィスさんの言葉を遮り答えた。
「あの暗殺者を送り込んだ奴らにだけわかればいいんだからな」
「それはそうですが……しかし、では何と? 旅に出ている間に、私よりも腕の立つ護衛を見つけたとでも説明されるおつもりですか?」
そのなんだかいじけたような言い方が少し気になったけれど……。
「考えがある」
「考え、ですか?」
「あぁ。お前確か、僕が城を出た理由を“王の病気を治す方法を探すため”と説明したのだったな」
それは初耳だったが、すぐに当然だと思った。まさか王になるのが嫌で逃げ出したなんて事実を説明出来るわけがない。
「はい、その通りですが……まさか」
すぐにその考えに辿り着いたのか、クラヴィスさんが声を上げた。
ラグが眉を顰め、アルさんが首を傾げる。
王子が、微かに唇の端を上げた気がした。
「あぁ。術士ではなく、医師として迎えるんだ」
(医師!?)
私はそのまさかの考えにぽかんと口を開けてしまった。