My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 4
17.楽譜
――好き?
唐突に出てきた気がするその言葉に頭の中が疑問符でいっぱいになる。
(好きって……ラグが、私をってこと?)
小さな呻き声に視線を落とすと、やっぱり蝋燭の灯りが眩しいのだろうか、アルさんが手で顔を覆っていた。
ラグの方を見れば私と同じように口を開けたまま固まっていて。
「僕はすぐに伝えたぞ、ドナにな。変に隠そうとするからややこしいことになるんだ」
なんだか王子は得意気だ。
彼がドナに、見ているこっちが恥ずかしくなるほど猛烈アタックしていたことは知っている。
でも、なんで急にそんな話になったのだろう。
(しかも、ラグが私を好きだなんて……)
これまでの私たちのどこを見たらそんなふうに思えたのだろう。
そもそも王子は口喧嘩をする私たちを怒っていたのではなかったのか。
と、そんな彼が私を見てまたも呆れたような顔をした。
「ほら見ろ、全くわかっていないじゃないか」
「はい?」
「――か、勘違いすんな!」
ラグが王子に向かってとうとう声を荒げた。
「そんなつもり全くねぇ! こいつは呪いを解くために必要なだけで」
こちらをびしっと指さしながら言われてカチンとくる。
またそれだ。
(わかってるってば……)
道具と思われているわけじゃないことはわかったけれど、でもやっぱりその台詞は聞きたくなかった。