My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 4
そこで気付く。
以前ならそう思われても仕方ないと考えていた。
それでも一緒にいてくれることに感謝していた。なのに――。
(なんか私、我儘になってる……?)
「それだ」
王子の言葉にどきりとする。
瞬間声に出ていたかと思った。でも彼はラグの方を見ていて。
「なんでわざわざそんな酷い物言いをする。まるで、」
「殿下ぁ~、そろそろ」
弱々しいアルさんの声に王子は一瞬口を止めたけれど、声のトーンを落とし続けた。
「……まるで、わざと嫌われようとしているみたいだと、思っただけだ」
(わざと?)
ゆっくりと首を回しラグの方を見ると、一瞬だけ目が合ってふいと逸らされた。
ズキと胸が痛む。
「ぶぅ~?」
可愛らしい声が聞こえてきたのは丁度そのときだった。
ラグがはっとして懐に手を差し入れる。
嬉しそうに外に飛びだしそのまま相棒の頭に乗っかったブゥに少しだけ心が癒されて、私はいつものように挨拶する。
「ブゥ、おはよう」
でも、いつものように笑えている自信が無かった。