My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 4

 そして気が付けばまた、私の視線はラグの方へ向いていて。

 彼は料理を食べ終えてからずっと、蝋燭の灯りの元相棒を頭に乗せ例の本を読んでいる。

 “わざと嫌われようとしているみたいだ”

 王子の言葉が頭の中をぐるぐると廻っていた。

(それって、私を遠ざけようとしてるってこと……?)

 考えたこともなかった。
 彼は誰に対しても無愛想で、態度が悪くて。
 それでもそばにいてくれたから。

(だから、嫌われてるかもなんて、考えたことなかったな)

 ズキと、また胸が痛む。

 彼からしたら私は異世界から来た得体の知れない人間で。
 でも呪いを解くのに必要だから仕方なく一緒に居て。
 なのに、私は彼の意にそぐわない行動ばかりして……。

(好かれてると思う方がおかしいけど)

 でも。

 “あいつが考えている以上に大事な存在だってこと、わかってやって欲しいんだ”

 ……どっちなんだろう。

 私はラグに、どう思われているんだろう。

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