My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 4
と、その時視線の先の彼が考え込むようにして口元に手を当てた。
何か不可解な点があるのだろうか。
流石に沈黙が辛くなっていた私は思い切って口を開いた。
「何か気になるところがあるの?」
するとラグはぱっと顔を上げこちらを見た。
その反動で頭の上で一緒に本を見下ろしていたブゥが向こう側に落ちそうになり慌てて飛び立つのが見えた。
「あ、あぁ」
でもラグはそう小さく答えるとすぐにまた視線を戻してしまった。
そんな態度にぎゅっと拳を握りながら何が気になるのか更に訊ねようとして、
「どこだ?」
彼のすぐ脇の机で書きものをしていた王子に先に訊かれてしまった。
ラグは王子の手元に本を置いてそのページを指し示す。
「ここなんだが」
「あぁ、これか……」
王子の声に微かに嘆息が混じる。
「これは僕にもわからなかった。笛の音についての記述だというのはわかるんだけどな」
「そうか……」
「他の古い書物にもたまにそんな文字だか記号だかが出てくるんだが、調べてもわからなかった」