My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 4
「――そして、最後にこれ」
なぜか声の調子を変え、王子が指さしたその楽譜は今までで一番長く複雑に思えた。
「これは?」
「【死を呼ぶもの】」
「!?」
バっと顔を上げる。
見たらだめだ。咄嗟にそう思った。
(そういえばラグがそんなことを言ってたっけ……)
そんな私に気付いたのだろう、王子はすぐにそのページを閉じてくれた。
「この書物にはこの5つだ」
「あ、ありがとうございます」
まだ胸がドキドキしている。
と、アルさんがうーんと唸った。
「それっぽいのは心を鎮めるってのと、安息を祈るってやつかな」
「ですね」
「でもまぁ、確かめようがないしなぁ……」
「ですよね……」
王様が寝ている今は確認しようがない。
小さな溜め息が重なった、そのとき。
「……他の書物にもその楽譜ってやつが出てくるって言ってたな」
ラグが王子に訊ねた。
(そういえば)
確かに王子は先ほどラグとの会話の中でそう言っていた。
「あぁ。これまでに何度か見たことがある」
「そんなにいくつもあんのか」
驚いた様子のアルさん。