My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 4
「それに私の歌も、ただ“ドーレーミー”と音階を声に出すだけじゃ何も起こらなくて、ちゃんと“歌”になっていないとセイレーンの力は出なかったんです」
フェルクレールトで子供たちに歌を教えたあの時、そのことに気付いたのだ。
「あー確かに共通点は多いな。その笛にも、カノンちゃんの歌にも呪いを解く力があるみたいだし」
「はい!」
私は同意してくれたアルさんに大きく頷く。
ついさっきまでラグに同じ物のように言われて嫌な気持ちになっていたけれど、そこが一番の共通点なのだ。
(この笛の謎が解ければ、歌のこともわかるかもしれない……!)
ぎゅっと拳を握りしめた。
「いつから、か……」
腕を組み唸った王子に私は勢い込んで訊く。
「あの、前の王様のことは何か知りませんか?」
前の王様、王子からするとお祖父さんにあたる人だ。
そうして辿って行けば、何かわかるかもしれないと思ったのだけれど。
「さぁ、先代の王は戦地で果てたと聞いてはいるが。勿論僕は会ったこともない。前王妃も僕がここに連れて来られる前に既に亡くなっていたからな」
「そう、ですか」
知らず力の入っていた肩を落とす。