My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 4
「それで、父さまの病について何かわかったのか?」
「手がかりになりそうな書物は見つけたのですが、大分古いものでして解読に時間がかかっています」
「そうか……。引き続き、父さまのことよろしく頼んだぞ」
「はい」
アルさんはもう一度恭しく頭を下げ、私も慌てて頭を下げた。
「カノン」
「は、はい!」
名を呼ばれ顔を上げるとデュックス王子が柔らかく微笑んでいた。
「今日はありがとう」
「いえ、お役に立てて良かったです」
昼間3人で花を摘んだことを思い出し、笑顔で答える。
「また明日も付き合ってくれるか?」
「はい、喜んで!」
すると王子は先ほどよりも子供らしい笑顔をくれた。
「では兄さま、おやすみなさい」
「あぁ、おやすみ」
穏やかな挨拶を交わす兄弟。
そのまま扉が閉まるかと思ったが、
「クラヴィスの姿が見えませんが」
フィグラリースさんの怪訝そうな声にどきりとする。