My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 4
「あぁ、あいつなら今使いを頼んで書庫にいる。すぐに戻るはずだ」
平然と答える王子。
「そうでしたか……。それでは失礼いたします」
フィグラリースさんは一礼し、今度こそ扉は閉められた。
途端、アルさんの身体がソファに崩れ落ちるのを見て声を上げそうになる。
しかしまだ近くにデュックス王子たちがいるはず。寸でのところで抑え、彼の元へ向かう。
「大丈夫ですか!?」
再びソファに横になってしまったアルさんは息荒く苦笑した。
「やっぱ……、まだ立つのは、無理だったみたい」
「わかってるならやめりゃいいんだ」
呆れたように言ったラグにムッとする。
が、その頭に再びブゥが乗ったのを見て、その小さな瞳と目が合ってどうにかその怒りは鎮まった。
「すまない。もう少しの辛抱だ」
そう言ったのは王子だ。
「大丈夫です。さっきよりは、かなり良くなってますんで」
……どう見てもそうは思えない。
優しい彼のことだから、王子を安心させたいのだろうけれど。
「本当に、無理はしないでくださいね」
私が小声で言うと、アルさんはありがとうと笑って目を閉じた。