My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 4
と、アルさんの掠れた声が聞こえた。
「王様の弟の……要はデュックス殿下のお妃にってこと」
「おき……っ!?」
「冗談だ」
かくんと力が抜ける。……思わず声が裏返ってしまったではないか。
「まぁ、ドナのためになるなら僕はどちらでも構わないがな」
そう涼しい顔で席に着いた彼に、私は思い切って言う。
「デュックス王子に好かれているのは、ツェリウス王子ですよ」
「え?」
「お兄さんのこと、とっても尊敬しているようでしたし」
こちらから視線を外しペンを手に取る王子。
私は更に続ける。
「それに、デュックス王子言ってました。兄さまが王になったら僕がしっかり支えるんだって」
王子の横顔が強張るのがわかった。
でもそれはすぐに嘲るような、それでいて少し寂しげな笑みに変わって。
「あいつは、何も知らないからな」
「……何も、ですか?」
「あぁ。でもそれでいいんだ。あいつは、何も知らなくていい」
自分たちの間で派閥が出来ていることを言っているのだろうか。それとも……。
それ以上は何も言えず、それからしばらくの間王子がペンを走らせる音だけが部屋に響いていた。
「王様の弟の……要はデュックス殿下のお妃にってこと」
「おき……っ!?」
「冗談だ」
かくんと力が抜ける。……思わず声が裏返ってしまったではないか。
「まぁ、ドナのためになるなら僕はどちらでも構わないがな」
そう涼しい顔で席に着いた彼に、私は思い切って言う。
「デュックス王子に好かれているのは、ツェリウス王子ですよ」
「え?」
「お兄さんのこと、とっても尊敬しているようでしたし」
こちらから視線を外しペンを手に取る王子。
私は更に続ける。
「それに、デュックス王子言ってました。兄さまが王になったら僕がしっかり支えるんだって」
王子の横顔が強張るのがわかった。
でもそれはすぐに嘲るような、それでいて少し寂しげな笑みに変わって。
「あいつは、何も知らないからな」
「……何も、ですか?」
「あぁ。でもそれでいいんだ。あいつは、何も知らなくていい」
自分たちの間で派閥が出来ていることを言っているのだろうか。それとも……。
それ以上は何も言えず、それからしばらくの間王子がペンを走らせる音だけが部屋に響いていた。