My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 4
「二人とも俺の助手ってことで……あ、セリーンは俺の奥さん兼助手ってことにしたほうが自然かも?」
「おい」
「いえ! あの、私はどこか近くの街で待機とか……」
てっきりそう考えていた私は両手を振りながら助けを求めるようにセリーンを見上げた。
お城の中に入るなんて畏れ多いし、緊張するし……何より、お城と言うとどうしてもあのグラーヴェ城のことが思い出されて恐ろしかったのだ。
「私はカノンを護るだけだ。カノンのしたいようにすればいい」
セリーンがそう言ってくれてホっとする。
でもアルさんはそんな私に驚いたようで。
「えぇ? カノンちゃんなんで。一緒に行こうぜ!」
「そうだ。お前の求めるものも見つかるかもしれないぞ」
「へ?」
思わず気の抜けた声が出てしまっていた。
アルさんの後を続けるようにして言ったのは王子だ。
(私の、求めるもの……?)
「お前はドナの友人だ。セイレーンだろうと何だろうと、絶対に悪いようにはしない。安心して入るといい」
「え? あ、ありがとうございます……?」
小さくお礼を言いながらも、その意味ありげな視線と言い方に大きな引っ掛かりを覚えて顔が引きつるのを止められなかった。