My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 4
「それと、ビアンカにも会ってきたぞ」
「え!? ど、どうしてた?」
そうだ。ビアンカはあの小屋の近くにいるのだ。
「とぐろを巻いて眠っていたが、私に気付いて起きてくれた。フォルゲンのことを簡単に話してきたが、再び眠ってしまってな」
「そっか……」
なんとか、フォルゲンさんに会わせてあげたいけれど……。
「王とメガネの様子は?」
その呼び名にかくんと肩が落ちそうになる。
「王様はあのまま眠ってるって。アルさんは今ブゥが見てくれてて」
「何をしている! 早く来ないと閉めてしまうぞ」
地下から響いてきた王子の声に慌てる。
「はーい!」
「詳しいことは進みながら話そう」
再び階段に足を掛けたセリーンに私は言う。
「セリーン、ブゥと一緒にアルさんを見ててくれないかな。やっぱ結構辛そうで」
本当は楽譜のこととかセリーンに話したいことが色々とあったけれど、彼女が近くにいたほうがアルさんも元気が出るはずだ。
「……カノンはもう平気なのか?」
「え?」
セリーンが地下に視線をやり、理解する。
「うん。大丈夫!」
ちょっと嘘だったけれど、そんなこと言っている場合じゃない。
「そうか。気を付けるんだぞ」
「うん、セリーンも。じゃあ、行ってくるね。アルさんのことよろしく!」
セリーンが頷くのを見て、私も地下へと続く階段を駆け下りた。