My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 4
王の寝室を出た私たち3人はすぐに王子の部屋に向かった。
王様が治ったのならきっと彼も――。
「アルさん!」
扉を開け放った、途端。
「ふっかーつ!」
「ぶ~ぅっ」
すぐ目の前で晴れ晴れとした笑顔に迎えられ、私は彼の名を呼んだ口の形のまま固まってしまった。
一拍置いて後ろから盛大なため息が二つ。
「なんだよなんだよ~誰も泣いて喜んでくんないのかぁ? この通りすっかり治って元の明るく元気なアル先生に戻ったってのに寂しいじゃねぇか」
紋様の消えた額を見せるように髪をかき上げる彼。
その傍らを、ブゥを頭に乗せたラグが呆れた様子で通り過ぎる。
「もう少し寝てりゃあ良かったんだ」
「どういう意味だよそれ~」
「癪だが同意だ」
ラグとすれ違いにこちらに歩いてくるセリーンが鬱陶し気に耳を押さえていた。
「紋様が消えてからずっと一人でベラベラと……耳障りでかなわん」
「セリーンまで酷い!」
そんないつもの3人の会話に苦笑しつつも、心からほっとして。
「治って本当に良かったです!」
笑顔で言う。