My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 4
するとアルさんは、いつもの彼らしくニッと笑ってくれた。
「カノンちゃんも、お疲れさん」
「はい!」
そして彼はまだ廊下にいる王子に頭を下げた。
「殿下、ありがとうございました」
「いや、迷惑を掛けたな」
「それで、クラヴィスは見つかったのか?」
私の隣に立ったセリーンが訊くと、王子は低く答えた。
「これから探しに行くつもりだ」
「あ、じゃあ俺がお供しますよ。護衛も復活です!」
「すぐに、平気なのか?」
「問題ありません。行きましょう」
「あ、私も」
疲労感はあったけれど、クラヴィスさんのことは気になる。
それにアルさんも本当に平気なのだろうか。
「大丈夫だよ。カノンちゃんはここでしばらく休んでて」
「でも」
と、ポンと肩にセリーンの手が置かれた。
見上げると彼女はいつもの冷たい口調で彼に言った。
「ここに来ることも考えられるからな」
「あぁ。一回りしたらすぐに戻ってくる。んじゃ、行ってくるな」
「気を付けて!」
アルさんは笑顔で手を振りツェリウス王子と長い廊下を進んでいってしまった。