My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 4
「エルネストさん、あのお城の中にいたりして」
不安を紛らわすため、冗談半分で言ってみる。
「なんかぴったりだよね。エルネストさんとあのお城」
美しい城を振り返りながら続けると、
「しかし王子は知らないと言っていたのだろう?」
セリーンに大真面目に返されてしまった。
「う、うん。そうだったらいいなって思って」
苦笑しながら誤魔化していると前方からイラついた声。
「本当に幽閉されているなら隠している可能性もある。それにあの王子が知らないだけかもしれない」
それを聞いてふと気づく。
「もしかして、ラグが王子の護衛をOKしたのって、お城の中を調べたいから?」
「それもあるが……それより、さっきのアレはどういうことだ」
いつ言われるかと思ったが、ここで言われてしまった。
振り返り睨んできた彼に私は再びぶんぶんと首を振る。
「だから私は言ってないよ! ドナにしか、言ってない」
舌打ちをしてラグは前に向き直る。
「あの女が喋ったってことか」
「ドナは喋ったりしないよ!」
ドナは秘密をばらしてしまうような子ではない。
それにあの時二人はとてもギクシャクしていて、そんな話が出来る状況ではなかったはずだ。