My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 4
「ぶぅ~」
そのときそんな小さな鳴き声が聞こえてきて、窓の方を見る。
「ブゥ!」
窓から入ってきたブゥは嬉しそうに羽ばたいてからちょこんとラグの頭に着地した。
「よくここにいるってわかったね」
そう声を掛けながら、はっとする。
「ねぇ、ブゥならクラヴィスさん見つけられるんじゃないかな!」
「ぶ?」
何? というふうにブゥが私を見る。
ブゥは鼻が利くということを思い出したのだ。
ラグもそんな相棒を見上げながら言う。
「あぁ。だがこいつ、もうすぐ寝ちまうからな。捜すなら早くしねーと……」
と、何かに気付いたようにラグの視線が扉の方を向いた。
「ちっ、もう来やがったのか」
その嫌そうな声に私も扉を見る。
すると確かに階段を駆け上がってくる足音が聞こえてきた。
(セリーン、早っ)
「ま、あの笛がないとここは開かねーんだ」
ラグが余裕の表情で言った、直後。
ガチャガチャンっ
そんな重い音が響いて、あっけなく扉の鍵が開いたのがわかった。
「なっ!?」
「愛しの子おおぉぉーー!!」
バーン! と凄まじい勢いで扉を開け放ち部屋に入ってきたセリーンはすぐさま小さなラグに飛びついた。
「なんでだあああぁ――!!」
ぎゅーと羽交い絞めにされながら叫ぶラグ。