My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 4
その頭から飛び立ったブゥが私の頭に移ってきた。
「あぁ~良かった~間に合った~やっと逢えたぞ~」
「苦しっ……は・な・せぇ~~っ!」
やはり少し久しぶりで妙に落ち着くその光景を間近に見ていると。
「相っ変わらず羨ましい奴だな~」
「そうか?」
「アルさん! 王子も」
そう、扉の向こうにアルさんと呆れ顔のツェリウス王子が立っていた。
王子が手にしている笛を見て鍵が開いた理由はわかったけれど。
目の合ったアルさんがにっこりと笑った。
「カノンちゃん、無事で良かった」
「はい! どうにか……」
私も笑顔で答える。
「苦しかっただろう。どこか怪我はしていないか?」
その心配そうな声は目の前で小さなラグを思いっきり抱き締めているセリーンだ。
「う、うん。大丈夫」
「オレは苦じいぃ~」
「それで、ユビルスの術士はどうしたんだ? 倒したのか?」
呻き声を上げるラグに王子が不安げな表情で訊いた。
「あ、私が歌で眠らせたんです」
ラグの代わりに答えると、王子は怪訝そうにこちらを見た。
「眠らせた? それだけか」
そう問われて焦る。
そうだ。王子からしたら眠らせただけでは安心出来ないに決まっている。
「で、でもあの子、王子を狙ってきたわけじゃなくて、ラグを追ってきたみたいで。だからラグを記憶から消すような歌を歌ったんです」
「へぇ、カノンちゃんそんな歌も使えるのか」
アルさんが感心したように言う。