My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 4
「や、でもちゃんと効いているかどうかは……」
尻すぼみに言いながらゆっくりと王子に視線を戻す。
こんな答えで彼が納得してくれるとは思えない。でも。
「そうか。成功しているといいけどな」
案外、あっさりと納得してくれたようで逆に拍子抜けしてしまった。
「は、はい」
「でもカノンちゃんの言う通りラグだけが狙いだったんなら、クラヴィスがいないのはユビルスとは関係ないのか……?」
アルさんのその言葉を聞いてはっとする。
「やっぱりクラヴィスさんはまだ」
「うん。まだ見つからなくってさ」
はぁと溜息を吐くアルさん。
「一旦部屋に戻ろうとしたら途中ですっげぇ勢いで走ってくるセリーンに会って、こうして一緒に上ってきたってわけ」
「あの、今ラグとも話していたんですが、ブゥならもしかしたらクラヴィスさんを見つけられるかもって」
するとアルさんはぽんと手を打った。
「そっか! その手があったか」
「どういうことだ?」
王子が私の頭の上を見つめ眉を寄せた。
私はブゥを指差し説明する。
「この子、鼻が利くんです。だから、きっとクラヴィスさんも見つけられるはずです!」