My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 4
26.真相
「なに!?」
私たちは顔を見合わせすぐに部屋を出た。
階段の手摺から身を乗り出すようにして見下ろすと、入口の扉の方からゆっくりと後退ってくるアルさんと王子の姿が見えた。
そして彼らを中央の階段へと押し戻すように姿を現した人物。それは。
「うそ、あれって」
「デュックス王子の側近だな」
ラグを抱えたまま横に並んだセリーンの低い声音。
――そう、デュックス王子に「フィー」と呼ばれている、あのフィグラリースさん。
彼を先頭に数人の兵士たちが、王子とそれを守るように前にいるアルさんに剣先を向けていた。
「なんで……!」
「行くな!」
階段を下りようとした私をラグの厳しい声が止めた。
振り返ると彼はセリーンの腕の中でこちらを睨んでいて。
「お前が行ってもしょうがねーだろ。あんな奴ら、アルが一人でなんとかする」
確かにそうだけれど……。
セリーンも動く気はないようで、私はハラハラとしながらもう一度その場から塔の底を見下ろした。
「フィグラリース、どういうことだ!」
階段まで追いやられた王子はその一段目に片足を掛け厳しく怒鳴る。
それから一拍開けて、フィグラリースさんの感情を押し殺したような冷たい声音が響いてきた。
「申し訳ありません。貴方方にはここで死んでいただきます」