My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 4
(――そう。そうだよ。仲直り。仲直り……だよね?)
心の中で首を傾げる。
でも、先ほどの小さいラグとの会話は、あれは仲直りと言っていいはずだ。
だからもう、嫌な気持ちになったり、ギクシャクしたりする必要はないのだ。
今まで通り、普通に接すればいい。……なのに。
(なんでこんなに落ち着かないんだろう)
もう見えない彼の背中を追って螺旋階段を駆け下りながら、私はまた知らずのうちに胸を押さえていた。
階段を下り切ると、フィグラリースさん達は上から見た時と同じ格好で静かに横たわっていた。手首を縛っているのはどうやら彼自身の腰ベルトのようで、ラグが他の兵士たちも同様に腰から引き抜いたベルトで強く縛っている。
「良い剣だな。借りておくか」
見るとセリーンが細身の長剣を手にしていた。先ほどアルさんが使っていたフィグラリースさんの剣だ。
「そっか、セリーンの剣、まだ小屋に置きっぱなしなんだよね」
「あぁ。早く取りに行ってやらんとな」
「そうだね」
剣を一振りしもう一度その刃を真剣に見つめた彼女を見て微笑む。
今のような細身の剣も似合うけれど、やはりセリーンはあの大剣でないとどうもしっくりこない。
彼女自身がきっと一番そう思っているだろう。