My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 4
そして私はもう一度横たわる彼を見つめる。
「フィグラリースさん、デュックス王子のためって言ってたけど」
――貴方が、帰ってさえ来なければ。
先ほどの苦しそうな声音を思い出す。
「デュックス王子が喜ぶわけないのにね」
それは側近である彼が一番良くわかっているはずなのに。
「あの宰相が、まだ諦めていないということだろう」
セリーンが溜息交じりに言い、私も頷く。
「やっぱりあの人だよね」
あの人がいる限り、この城でツェリウス王子に安息の時はないのだ。
「どうしたら諦めてくれるんだろう……」
諦めさせることが、出来るのだろう。
「それを考えるのはオレたちじゃねぇだろ」
呆れたような声音に顔を上げる。
ラグは全ての兵士たちを縛り終えたようでふぅと息を吐きながら立ち上がった。
「あいつがこの先王になるつもりなら、尚更だ。オレたちはあくまで護衛としてここにいる。考えて決めるのはあいつ自身だろ」
「そう、だけど……」
「ま、あの宰相を殺っちまうのが一番手っ取り早いとは思うけどな」
「!?」
物騒な言葉にぎくりとする。