My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 4
「護衛の延長でアルやオレに言えば済む話だ」
……確かに、相手はあの術士だけでなく、こんなに身近な人物までも差し向けるような人間だ。
「でも、」
「でもあいつはその気はないみたいだ。だから何か考えがあるんだろうよ」
小さく驚く。
彼は彼なりに王子のことをちゃんと考えているみたいだ。
「護衛といや……お前、侍女ってのは何の話だ?」
「へ?」
視線が合って思わず間抜けな声が出てしまった。
「さっき、あいつが言ってたろ。侍女よりも王弟妃がなんたらって」
「あぁ!」
すぐに思い出す。
色々あり過ぎてすっかり頭の隅に追いやってしまっていたけれど。
「どういう話だ?」
セリーンも眉を顰め、私は慌てて答える。
「王子にね、言われたの。もし……私が帰れなかったら、ドナの侍女になってくれないかって」
言われた時は、ラグのこともあって不安な気持ちに押し潰されそうになったけれど、今はそれほどでもない。
こうして二人に普通に話すことも出来る。