My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 4

「僕はずっと、この城で独りだと思っていた」
「え?」
「ありがとう、デュックス。……これまで、すまなかったな」

 なんで謝られたのかわからない様子のデュックス王子。

 ……これまでツェリウス王子の中で様々な葛藤があったことを、デュックス王子は知らないのだ。

 デュックス王子の肩に手を乗せ、ツェリウス王子は力強く言う。

「共に支えていこう。この国を」
「! はい!」

 デュックス王子の飛びきり嬉しそうな顏を見て、こちらも笑顔になる。

「良く言った! ツェリウス、デュックス!」

 背後で再び上がった凛とした声に驚き振り返る。

「あなた!?」
「父さま!?」

 そう、そこに居たのは王様だった。クラヴィスさんに支えられながらもしっかりとその両足で立っている。

「父さま、もう起きて大丈夫なのですか!?」

 デュックス王子がすぐさまそちらへ駆けていく。

 フィグラリースさんは王様の姿を見て唖然とした顏だ。
 しかしプラーヌスは王様の回復を既に知らされていたのか、床を見つめたまま顔を上げなかった。

(顔が見られないだけかも……)

 王様に言われクラヴィスさんが後ろに下がる。
 代わりに王妃様とデュックス王子が傍らに寄り添った。

「あぁ。もう大丈夫だ。デュックスにも心配をかけたな」
「良かったです……!」

 感極まったようにその腰に抱き付くデュックス王子。
 王様がその頭を撫で、そんな二人を王妃様が愛おし気に見つめている。

 ちらりとツェリウス王子を見ると、傍に行かないまでもとても穏やかな表情を浮かべていてなんだかほっとする。
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