My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 4
と、王様の顏が優しい父親のそれから一変した。
「プラーヌス。そしてフィグラリース、全て聞いたぞ。どんな理由があろうとも、我が息子を亡きものにしようとした罪は重い」
その言葉にツェリウス王子が目を見開く。
「お前たちの処分は現国王である私が決めよう」
威厳に満ちた王様の言葉に、フィグラリースさんがその場に膝を着き深く頭を下げた。
プラーヌスも異論はないようだ。
王様は傍らの王妃様に顔を向ける。
「アンジェリカ、いいな」
「はい」
躊躇うことなく、しっかりと頷く王妃様。
そして彼女は再び己の父親を見つめた。
「お父様。ご自分のなさったことを、しっかり悔い改めてください」
彼女は涙を流していた。
それでも震えることのない厳しい声音で父親に告げた彼女を見て思う。
(王妃様って弱そうに見えて、本当は凄く強い人なんだ……)
プラーヌスの額が床に着き、その背中が小刻みに震え出したのを見て、私は知らずのうちに力の入っていた肩を落とした。
――これで終わったんだ。
もうきっとツェリウス王子が狙われることはないだろう。
そのとき窓の外が白み始めていることに気付いた。
長かった夜が、漸く明けるのだ。