My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 4
ドゥルスさんは登城してまずツェリウス王子の無事な姿をと王子の部屋へ向かったのだそうだ。
「そうしたらお部屋があの状態で、とにかく肝が冷えたと……」
プラーヌスとフィグラリースさんを地下牢へと連れていくドゥルスさんを廊下で見送った後、クラヴィスさんがそう話してくれた。
――ちなみにクラヴィスさんも先ほどまでその地下牢へ監禁されていたのだそうだ。
その後ドゥルスさんは夜勤だった部下から知る限りの情報を聞き、王様の部屋へと急ぎ向かった。
「そこで殿下の言いつけで陛下の寝室に居た私とばったり、というわけです」
「そうだったのか」
相槌を打ったのはセリーンだ。
(そういえば朝にはお城に来るって奥さんのレセルさんも言ってたっけ)
昨日会った時は“頑固親父”という言葉がぴったりな人だと思ったけれど、騎士の格好をした彼は失礼な言い方だが見違えるほどに格好良かった。
騎士団の団長であるドゥルスさんは王様の従者でもあるらしい。
まだ体力が十分でない王様は、先ほど王妃様、そしてデュックス王子と共に寝室へと戻っていった。
「でも酷いんですよ。団長はずっと私を疑っていたそうです」
溜息交じりに言うクラヴィスさん。
……私もちょっとだけ疑っていました、とは言えない。
見ればアルさんも視線を泳がせている。
と、王子がふんと鼻を鳴らした。
「お前は日頃の態度に問題があるんだ。特に僕に対してのな。そこにまんまと付け込まれたんだ。即刻改めろ」
顔も見ずに言ったツェリウス王子に、クラヴィスさんはさも心外というような顔をした。
「何を言うんです。ご幼少の頃からこんなに誠心誠意お仕えしているというのに」
そんな二人の会話に本当に終わったんだという実感が湧いてくる。