My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 4
「ご、ごめんね」
「謝ることは無い。昨夜は色々とあったからな。どうだ、もう眩暈はないか?」
そこで昨夜眩暈を起こして倒れかけたことを思い出す。
そしてラグに抱きかかえられたことも。
(そっか、あのままここに運んでくれたんだ)
瞬間またも顔の熱が上がりそうになって慌てて頭を振る。
「う、うん。大丈夫そう!」
「そうか」
そんな私を見て安堵の息を吐くセリーン。
でもその後すぐに彼女は言った。
「ならカノン、今からフォルゲンと話は出来そうか?」
「え?」
その名に驚く。
「フォルゲンさん、まだお城に……?」
てっきり他のお医者さんと共に街へ帰ったのだと思っていたけれど。
「あぁ、本人の意志で一人まだ城に残っていたんだ」
「一人で?」
「あぁ、奥方は昨日のうちに帰ったそうだ」
「じゃあ」
「あぁ。話すなら今だろうと思ってな。先ほどカノンを看てくれるように頼んだんだ」
そういうことかと理解して、私はこくりと頷く。
「うん。ちゃんと話さなきゃ。ありがとう、セリーン」
「いや。男共も心配している。ついでに声を掛けてこよう」
そう言って椅子から立ち上がったセリーンに訊く。
「二人は?」
姿の見えないラグとアルさんはどこにいるのだろう。