My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 4
「その、でも、ラグはただ私を慰めてくれただけで」
「…………」
「だから、別に変な意味はないと思うんだけど、その…………抱きしめられて、びっくりした」
「よし。代わりに私が一発殴ってこよう」
「へ!?」
何が「よし。」 なのか、再び背を向け扉の方へズンズン歩き出したセリーンのその言葉に焦る。
「いやいや大丈夫なのホントびっくりしただけだから!」
ぴたっとその足が止まる。
「……嫌ではなかったのか?」
「う、うん。嫌っていうか……」
むしろ。
「最近、ラグに嫌われてるのかなって思って落ち込んでたから、ちょっと……嬉しかった、かな」
言いながら気が付く。
――そっか。私、嬉しかったんだ。
さすがに嫌いな相手に、あんな慰め方はしないだろう。
だから。
「うん。嫌われてないってわかって、嬉しかったの。だから、私の中では仲直り」
そして私はへらっと笑う。
「……」
それでもまだ納得いかないという顔のセリーンに、私は更に昨夜のことを話していく。
「それにね、ラグ笑ったんだよ! 助かった、ありがとうって、お礼も言ってくれて。本当にびっくりしたけど、嬉しかったなぁ。セリーンにも見せてあげたかったよ」