My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 4
思い出しながら少し興奮気味に言うと、セリーンがふうと諦めたような長い溜息を吐いた。
「カノンがそう思ったのならいいが。……一応奴も男だからな。気を付けるんだぞ」
「だ、大丈夫だよ!」
彼に限ってそれは要らない心配だろう。断言できる。
笑う私に彼女はまだ何か言いたそうに口を開いたが、そのままもう一度短く息を吐いて扉に手を掛けた。
「待っていろ、奴に声を掛けてからフォルゲンを呼んでくる」
「うん!」
ぱたりと扉が閉まって私はふぅと肩を落とす。
(こんなに長い間一緒にいるのに、セリーンはまだラグのことそんなに良く思ってないんだなぁ)
彼の小さな姿が好きだから、その反動なのだろうか。
セリーンも昨日のあの笑顔を見たら少しは……いや、むしろその笑顔のまま小さくなれと言いそうだ。
苦笑して、私はもう一度昨日の彼の笑顔を思い出してみる。
昔は良く笑っていたという彼。そんな本来の彼に少し近づけたような気がして、やっぱり嬉しかった。