My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 4
……フォルゲンさんに、まずはなんて切り出そう。
ライゼちゃんの知り合いだと言ったらきっと彼は驚くだろう。
それよりもビアンカがすぐそこにいると聞いたほうが驚きは大きいだろうか。
そして、……彼はどうするだろう。
奥さんのこともある。
遠い地にいる彼女の可愛らしい微笑みを思い出し、私はぎゅっと拳を握った。
そのときだ。トントンと扉が軽くノックされた。
「はい?」
反射的に返事をする。
もうセリーンが戻ってきたのだろうか。
少し間を開けてガチャと扉が開く。
(!)
現れたのはラグだった。
先ほどあんな会話をしたせいか、なんだか妙に緊張してしまう。
彼は何も言わず扉を閉めるとそのすぐ横の壁にもたれて腕を組んだ。
「お、おはよう」
もう“おはよう”という時間帯ではないが、それしか思いつかずにそう声を掛ける。
すると彼はこちらに視線を向け口を開いた。
「具合は?」
「え? あ、もう平気。ただの寝不足だったんだと思う」
ハハと苦笑しながら続ける。
「昨日はありがとう。ここまで運んでくれて。私いつの間にか寝ちゃったんだね」
「寝不足だけじゃねえだろ」
「え?」