My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 4
「……そうか。殿下がそこまで信頼している君たちなら、ライゼ様を知っていてもおかしくはないのかもしれない」
そう言ってくれて、私は思わず頭を下げる。
「ありがとうございます!」
――本当は、ライゼちゃんとの出会いから全てを話したかったけれど、そうすると私が銀のセイレーンだということから話さなくてはならない。
折角信じてくれた今、それは逆効果だろう。
真実は、フェルクの地でライゼちゃんが直接話してくれるはずだ。
そして私は改めて話し始めた。
「フェルクレールトで、ライゼちゃんやラウト君、ヴィルトさんに本当にお世話になりました。それに、ブライト君にも」
その名が出た途端、彼は身を乗り出した。
「ブライトのことも、知っているのか」
「はい! フォルゲンさんの弟ですよね」
「あぁ。……元気にしていたか?」
「はい、ライゼちゃんを守るために一生懸命頑張っていました。勿論、医師としても」
すると彼は安堵するように長く息を吐いた。
「そうか」
嬉しそうに目を細めるフォルゲンさん。
「みんな、フォルゲンさんのことをとても心配していました」
「……」
「どこかで生きているはずだと信じて、みんなフォルゲンさんの帰りを待っていました」
「……そうか」
短くそう繰り返し、フォルゲンさんは目を伏せてしまった。