My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 4
「そうか、サエタ港を使うのか」
セリーンも気が付いたふうに声を上げた。
私には全然わからないけれど、ラグもアルさんも理解したようだ。
「えぇ、ヴァロール港から船に乗れば、少しは距離が縮まるかと。――殿下」
見上げた先の王子があぁと頷き、崩していた姿勢を正した。
「船はこちらで用意しよう。そのくらいはさせてくれ。いつ頃出発する予定だ?」
「この後準備ができ次第、すぐだ」
ラグのいつもの迷いない声音に、王子の口がぽかんと開くのを見た。