My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 4

 と、後ろに居たセリーンが私の横に並び同じようにビアンカに触れた。

「私からもありがとう、ビアンカ。お前のお蔭で大分旅が楽になった。元気でな。ライゼ達にもよろしく伝えてくれ」

 そうしてセリーンはビアンカの身体を抱き締めた。
 するとまた。ビアンカは頷くように一度瞼を落とした。

 次に前に出たのはアルさんだった。

「ビアンカ。ありがとな。この中じゃ俺が一番付き合い浅いけどよ。お前さんが居てくれてほんと助かったぜ。いつか俺もフェルクに行ってみたいからさ。そん時はよろしくな」

 そうしてアルさんも彼女の身体を抱き締めた。

 私は後ろを振り返る。次はラグの番だ。
 飛行中、なんだかんだと一番ビアンカに話しかけていたのは彼だ。
 なのにラグはビアンカを見てはいなくて。

「ラグ?」

 私が声を掛けるとラグは徐に頭の後ろに手を回した。そして。

「ブゥ、起きろ」

 彼は手の中で寝ているブゥに話しかけた。
 彼が日中にブゥを起こすのを見るのはこれが初めてだ。

「そっか、ブゥにもお別れさせないとな」

 アルさんが微笑ましげに言うのを聞いて、そうかと思う。

(サイズは全然違うけど、同じモンスターだもんね)
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