My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 4
そう。私はもう見慣れてしまったが、ドゥルスさんたち二人には驚くべきことが起こったのだ。
「こりゃあ、どういうこった。本当に若造になっちまった……」
例によって小さくなってしまったラグをぽかんと口を開け見つめる二人。
「……治してやったんだ。いくつか訊きたいことがある」
俯いたまま、絞り出したような声で言う小さなラグ。見ると案の定その耳が少し赤くなっていた。
だがドゥルスさんたち親子はまだ呆然としたまま、ただラグを見つめるだけ。
耐え切れなくなったのか、ラグが勢いよく顔を上げた。
「聞いてんのか!」
「戻ってきたぞ愛しの子ーー!!」
ラグが怒声を上げると同時、飛び込んできたのはそんな歓声。
びっくりして振り返ったときにはもう彼女の姿は無く、
「んな!? やっぱりてめぇ、約束が違ぐえっ!」
逃げる間もなくセリーンに羽交い絞めにされたラグが潰されたカエルのような呻き声を上げた。
(やっぱり……)
「てめぇ! しばらく帰ってくるなって言っただろーが!!」
「約束ならちゃんと守ったぞ。しばらく戻らなかっただろう? 本当はもっと早くに戻ってきたかったんだからな。この頑張りを褒めて欲しいくらいだ!」
「誰が褒めるかああぁ! くっそおおおーーーー!!」
「…………」
私は例によって苦笑するしかなく、それを見てしまった親子は先ほどよりも更に口を大きく開けていた。