My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 4
だがそこで動揺するセリーンではない。
「実際に目の当たりにしたんだ。王子が暗殺されそうになるところをな」
「!?」
再び目を見開いたドゥルスさんに、セリーンはこれまでのいきさつを話していった。
勿論、王子が城を出た本当の理由やラグの素性などは隠してだ。
旅の途中で偶然王子と出会い、道中の護衛も兼ねて王の治癒を依頼されたこと。
そしてその途中ユビルスの暗殺者に襲われたことを話すと、ドゥルスさんは怒りを露わにした。
「ユビルスの暗殺者……。プラーヌスめ、そうまでしてデュックス殿下を王にしたいか」
膝の上でぎりぎりとその拳を握りしめるドゥルスさん。
「それが首謀者の名か?」
「間違いねぇだろうな。昔っからデュックス殿下を一番に推しているのが奴だ」
プラーヌス。その人物がツェリウス王子の暗殺を企む人物。
宮殿に入る上で一番の要注意人物ということだ。
「どういう人物だ?」
「プラーヌスはこの国の宰相だ」
セリーンが表情を厳しくする。
(宰相って、王様の次に偉い人なんじゃ……)
そんな人が王子暗殺を企てた張本人だということに驚く。
「そして、デュックス殿下の祖父でもある」
「ということは……王妃の父親ということか」
眉を顰めたセリーンに、ドゥルスさんは重く頷いた。
――理解はしたくないが、それを聞いて納得がいく。
(自分の孫を王様にしたいってこと)