My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 4
「共謀者はどのくらいいそうだ?」
「……陛下が伏せっている今、この国のトップは奴だと言っていい。敵は多いと思っていたほうがいいだろうな」
その低い声音にぞくりと震えが走る。
そんな敵ばかりの中にこれから入り込むのだ。思わずごくりと喉が鳴ってしまった。
と、思い出したように彼は続けた。
「そういやクラヴィスって奴は一緒じゃなかったか?」
「あぁ、クラヴィスも共に戻っているぞ。今も王子の傍にいる」
「……そうか」
意味ありげな顔でドゥルスさんは無精ひげの生えた顎を撫でた。
「クラヴィスがどうかしたか?」
「……いや、あいつは一応俺の部下でな、疑いたくは無ぇんだが……あいつが実はデュックス殿下派だって噂が立ってな」
「!?」
私たちは顔を見合わせる。
「で、でもクラヴィスさん必死に王子を守っていましたよ! その暗殺者からも。ね、セリーン」
セリーンがしっかりと頷くと、ドゥルスさんは瞬間とても安堵したような表情を見せた。
「そうか、そうだよな。あいつが殿下を裏切るはずねぇよな。すまねぇ、今のは忘れてくれ」
「あぁ。ありがとうドゥルス。お前に会えて本当に良かった。ここまでわかれば十分だ」